「……え?」
二人、と聞いてすぐさま思い浮かんだのは、言うまでもなく彼等のこと。
「それって、額充てしてるツンツン頭と、やたら綺麗な男!?」
存在を忘れていたわけではないが、失念はしていた。
まさかこの街に来ているなど考えもしなかったが、なるほど確かにジストの情報収集能力ならば足取りを掴むのは造作もないことだろうし、そうなれば追ってくることは容易に想像できた。
「アンタ、犬の為に一人で飛び出してきたんだってね。アタシは大丈夫だって言ったんだけど、随分心配してさ。ジストとゼルって言ったかな」
ゼルとジストがこの街に来ている。
しかも、昼間に。
時間を考えるに、エナが港町カダルを飛び出した後、すぐに追ってきた可能性が高い。
「……やっば……。絶対怒られる……」
口元が引き攣ったエナの言葉に、ヴィルマは安堵したように息を吐いた。
「……ってことは、アンタの知り合いで間違いないんだね?」
「うん、一緒に旅してる仲間」
躊躇い無く口にした言葉に、ヴィルマは目を細めて笑った。
エナはその理由がわからず、もう一度首を傾げる。
「そうかい。その兄ちゃん達、此処に来る方法を探してたみたいだったからさ。たった半日のことなんだから待ってろって言ったんだけど、アンタが生きて帰る保障が無い、なんてこと言うもんでね、ついアタシまで心配になっちまったってわけさ」
「ああ、だから……」
だからたった五分姿が見えないだけでヴィルマまで不安にしてしまったのだ。
「ま、やっぱり取り越し苦労だったみたいだね」
エナは答えに窮した。
窮したから、別のことを口にする。
「ね、ヴィルマ達、この後どうすんの?」
簡易的な間仕切りの中に身を滑り込ませ、衣装を脱いでいく。
仕切りの外から答えが返る。
「プレタミューズでの公演があるからね、もうすぐにでも発つつもりさ。二ヵ月後に精霊祭も控えてるからね、休んでる間がないんだ。エナ、アンタはどうするんだい?」
出来たらついて来て欲しいんだけどねぇ、と付け足すヴィルマにエナは背伸びして仕切りから顔を出した。

