砂漠の賢者 The Best BondS-3


「漫才も出来そうだねぇ。アンタ達なら絶対直ぐにアルタ座の顔になれるよ。本気で考えてみないかい?」

「こんな美人と働けたら楽しそうだけど、ごめんね、もっと楽しいコト知っちゃったんだ」

 女性の対応に長けているらしいジストを、やはり欲しいとは思ったが引き際を誤らないのがヴィルマ流。
 こうも即答されたらこれ以上は何も言えない。

「そりゃ残念だ。……じゃあ、一体どんな用件だい?」

 まだ諦め切れないので値踏みを続けながらヴィルマは問うた。

「あのさ、エナちゃんて子が居るって聞いたんだけど、会わせてくれる?」

 途端にヴィルマの顔が険しくなる。
 不審がっているのを隠す気などさらさらない。
 視線が検分に変わる。
 エナが講演したのは一度きり。
 そしてその際、名前は一度たりとも公表していない。
 エナたっての希望だった。
 出来るだけ名前や姿が広まるようなことはしたくないのだとか。
 だから講演の際もカツラを装着したのだ。
 それなのにエナの名を知り、現在此処に所属していることも知っている男達。
 それも、屈強そうな剣士と突っ込みにカウンターを入れるような男だ。

「何者だい、あんた達。あの子に何の用だい」

 腕を組み、斜めに見据える。
 その態度の変化に気付かぬわけではなかろうに、ゼルはきょとんとジストを見た。

「……用? ジスト、用ってなんだ?」
「取り敢えず会うことが用だと思うけど。コトが大きくなるのを避ける為、とか?」

 その言葉の端々から彼らとエナの関係を暴こうとするが、全くわからない。

「えと、オレら、エナの知り合いっつーか道連れっつーか……なんつーか……な、仲…間……ああもう! とにかく会わせて貰えりゃわかるから!」

 吃(ドモ)りながら仲間だと言われても信じられるだろうか。
 ヴィルマは信じなかった。

「ふン……それを信じろってのかい」
「この単純馬鹿が嘘なんぞつけるわけないじゃーん。こいつだよ? 馬鹿だよ?」
「アンタは…! 人をバカにすんのも大概に……!」
「……」

 確かに、名前もあっさりと答えてしまうような男だ。

「けど、そう吃られちゃあね。嘘がつけないから吃ったとも考えられないかい? こちとら口八丁手八丁で此処までやってきたんだ。納得できる物言いをしな」