「漫才も出来そうだねぇ。アンタ達なら絶対直ぐにアルタ座の顔になれるよ。本気で考えてみないかい?」
「こんな美人と働けたら楽しそうだけど、ごめんね、もっと楽しいコト知っちゃったんだ」
女性の対応に長けているらしいジストを、やはり欲しいとは思ったが引き際を誤らないのがヴィルマ流。
こうも即答されたらこれ以上は何も言えない。
「そりゃ残念だ。……じゃあ、一体どんな用件だい?」
まだ諦め切れないので値踏みを続けながらヴィルマは問うた。
「あのさ、エナちゃんて子が居るって聞いたんだけど、会わせてくれる?」
途端にヴィルマの顔が険しくなる。
不審がっているのを隠す気などさらさらない。
視線が検分に変わる。
エナが講演したのは一度きり。
そしてその際、名前は一度たりとも公表していない。
エナたっての希望だった。
出来るだけ名前や姿が広まるようなことはしたくないのだとか。
だから講演の際もカツラを装着したのだ。
それなのにエナの名を知り、現在此処に所属していることも知っている男達。
それも、屈強そうな剣士と突っ込みにカウンターを入れるような男だ。
「何者だい、あんた達。あの子に何の用だい」
腕を組み、斜めに見据える。
その態度の変化に気付かぬわけではなかろうに、ゼルはきょとんとジストを見た。
「……用? ジスト、用ってなんだ?」
「取り敢えず会うことが用だと思うけど。コトが大きくなるのを避ける為、とか?」
その言葉の端々から彼らとエナの関係を暴こうとするが、全くわからない。
「えと、オレら、エナの知り合いっつーか道連れっつーか……なんつーか……な、仲…間……ああもう! とにかく会わせて貰えりゃわかるから!」
吃(ドモ)りながら仲間だと言われても信じられるだろうか。
ヴィルマは信じなかった。
「ふン……それを信じろってのかい」
「この単純馬鹿が嘘なんぞつけるわけないじゃーん。こいつだよ? 馬鹿だよ?」
「アンタは…! 人をバカにすんのも大概に……!」
「……」
確かに、名前もあっさりと答えてしまうような男だ。
「けど、そう吃られちゃあね。嘘がつけないから吃ったとも考えられないかい? こちとら口八丁手八丁で此処までやってきたんだ。納得できる物言いをしな」

