砂漠の賢者 The Best BondS-3

 「ほんにえらく趣味を変えよったの」

 その『趣味』がゼルに対してではなくエナに対してのことだと察したが、ジストはゼルの肩を再度引き寄せた。

 「でっしょー? 大人の階段上ったってゆーかぁー」
 「上りきンな! そしてくっつくなっ!」

 やり取りを見ていた蜥蜴は、しゃしゃしゃ、と妙な声をたてて笑った。

 「これは愉快痛快! あの澱(ヨド)んでいた紅がのう……生意気なのは相変わらずだが、はてさて何があったことやら…。成長というところだの」

 変な笑い声を立てながら蜥蜴は踵を反した。

 「やっと居場所を見つけおったか。…紅の行く末、とくと見届けさせてもらうぞい」

 「先が短いんだ。見届けたければ酒は控えるんだな」

 ジストの言葉に蜥蜴は振り返らず手を軽く挙げた。

 「控えたら明日の太陽も拝めんわい、クソ餓鬼が」

 とにかく酒好きの蜥蜴らしい言葉だった。

 「……四時間も待ったケドよ、エナがアルタ座と行動してるってわかったんだし、悪かねェよな」

 「……お前、寝てただけろうが」

 首尾は悪くない。
 結果だけみれば。

 「終わりよければ全て良し、か。さて行くぞ、阿呆」

 「せめてもっとマシな呼び方してくれ!」

 言いながら、彼らは検問の塔を潜った。
 もうエナは目の前に居る。
 そう信じていた二人は、またもや壁にぶつかることになる。