「いやー、楽しくなってきたな」
訝しそうに片眉をあげたゼルの肩に手を回したジストにゼルが幽霊でも見たような奇妙な目を向ける。
「ジスト……壊れたンか?」
「んー。それも悪くないかもねー」
「………意味わかんね」
ジストは紛れも無く上機嫌だった。
感じた靄も何もかも霧散しただけでなく、新たな発見さえも得ることが出来たのだ。
「つか、離れろよ」
「あ、その気になっちゃう?」
「ふざけ……っ! だぁぁっ! だぁら! 耳! 息かけんなっ! オレはエナの代用品じゃねェっつーの! くぉら、かじんなっ!」
「かーわいーなぁ」
「嬉しくねェっ!」
遂にゼルが癇癪を起こし両腕を高く掲げジストから身を離したところで、じっとりとした視線を感じた。
「………紅(クレナイ)よ、しばらく見ん内にえらく趣味が変わったようだの」
そこには、紺色の作務衣(サムエ)に身を包んだ老人の姿があった。
「遅刻しておいて随分な物言いだな。耄碌(モウロク)したか、蜥蜴爺」
いや、先に否定しろよ、とゼルが突っ込む。
「あんな時間から老体に鞭打たせた奴の言うことかね。寝坊くらい大目に見んか」
悪びれもなく答える老人こそが模造師。通り名を蜥蜴爺(トカゲジイ)という。
「年寄りが寝過ぎるとそのまま逝っちまうぞ」
「なに、道中出し物を見ての。近年稀にみるなかなか良い出来だったぞい」
ゼルとジストは顔を見合わせた。
「なぁ、ジっちゃん、そこに十七、八くらいの黄色い髪の女とか居たりしねかった?」
「さぁの。どうだったかの」
空っ惚けた言葉にジストは嘆息し、銅貨を一枚手渡した。
「……少ないのう。ま、いいわい。そんな娘は見ておらん。だがの…」
蜥蜴は今度は自ら掌を主張した。
ジストは舌打ちをして、銀貨をその掌に乗せる。
この老人が自ら金を要求する時はそれらしい情報を持っている時だ。
訝しそうに片眉をあげたゼルの肩に手を回したジストにゼルが幽霊でも見たような奇妙な目を向ける。
「ジスト……壊れたンか?」
「んー。それも悪くないかもねー」
「………意味わかんね」
ジストは紛れも無く上機嫌だった。
感じた靄も何もかも霧散しただけでなく、新たな発見さえも得ることが出来たのだ。
「つか、離れろよ」
「あ、その気になっちゃう?」
「ふざけ……っ! だぁぁっ! だぁら! 耳! 息かけんなっ! オレはエナの代用品じゃねェっつーの! くぉら、かじんなっ!」
「かーわいーなぁ」
「嬉しくねェっ!」
遂にゼルが癇癪を起こし両腕を高く掲げジストから身を離したところで、じっとりとした視線を感じた。
「………紅(クレナイ)よ、しばらく見ん内にえらく趣味が変わったようだの」
そこには、紺色の作務衣(サムエ)に身を包んだ老人の姿があった。
「遅刻しておいて随分な物言いだな。耄碌(モウロク)したか、蜥蜴爺」
いや、先に否定しろよ、とゼルが突っ込む。
「あんな時間から老体に鞭打たせた奴の言うことかね。寝坊くらい大目に見んか」
悪びれもなく答える老人こそが模造師。通り名を蜥蜴爺(トカゲジイ)という。
「年寄りが寝過ぎるとそのまま逝っちまうぞ」
「なに、道中出し物を見ての。近年稀にみるなかなか良い出来だったぞい」
ゼルとジストは顔を見合わせた。
「なぁ、ジっちゃん、そこに十七、八くらいの黄色い髪の女とか居たりしねかった?」
「さぁの。どうだったかの」
空っ惚けた言葉にジストは嘆息し、銅貨を一枚手渡した。
「……少ないのう。ま、いいわい。そんな娘は見ておらん。だがの…」
蜥蜴は今度は自ら掌を主張した。
ジストは舌打ちをして、銀貨をその掌に乗せる。
この老人が自ら金を要求する時はそれらしい情報を持っている時だ。

