さて、時は少し遡る。
「エナの奴! あいつは何だってこう勝手なんだか!」
馬車の中、ゼルはおおいに憤慨していた。
向かいで騒ぐゼルのやたらと大きな声にうんざりしながらジストは足を組み替えた。
「とんだ無駄足だったな」
宿場町に到着した彼らは、エナの居場所を探したが、得た情報といえば、アルタイル座という雑技団と共にノービルティアに発ったというものだった。
例の男が宿場町に居たにしろ居なかったにしろ、てっきり宿場町で合流出来ると思っていた彼らは、エナの無駄にある行動力を恨めしく思ったものだ。
例の男がこの町に寄った形跡が無いことから、エナは男を追う為にアルタイル座と行動を共にしたのだろう。
「朝までおとなしく待ってりゃいいものを…」
流石のジストも苦々しい顔で愚痴を零す。
「何だってこんな時間にまた馬車に乗ってんだよオレらは!」
エナの不在を知った二人は、つかの間の休息の後、暗い夜道の中ノービルティアに向かう途中だった。
「ありえねェだろ、フツーよォ! 運良く最終馬車のチケット貰えて、運良くノービルティアに向かうアルタイル座と接触して?! 揚げ句、あのノービルティアの入場手形まで何とかなるか?!」
なるわけがない。
普通ならば。
だが何を言おうがエナの運はそれを引き寄せた。
「……此処までの強運だと、もはや凶器だな」
彼らがエナに追いつけると思っていた理由の一つに、ノービルティアの特色が挙げられる。
ノービルティアは石の塀と、その周りに作られた堀で囲まれている。
出入口は北と南の二カ所のみ。その出入口を通るには入場手形が必要となる。
単体で乗り込んでも、新規の手形なら作成するまでに丸三日はかかる。
そうでなくとも発行に丸一日かかるのだ。
たいていが宿場町で一泊する理由はそこにある。
それがまさか、あっさりと手形を手にしているなど、普通考えつくまい。
「エナの奴! あいつは何だってこう勝手なんだか!」
馬車の中、ゼルはおおいに憤慨していた。
向かいで騒ぐゼルのやたらと大きな声にうんざりしながらジストは足を組み替えた。
「とんだ無駄足だったな」
宿場町に到着した彼らは、エナの居場所を探したが、得た情報といえば、アルタイル座という雑技団と共にノービルティアに発ったというものだった。
例の男が宿場町に居たにしろ居なかったにしろ、てっきり宿場町で合流出来ると思っていた彼らは、エナの無駄にある行動力を恨めしく思ったものだ。
例の男がこの町に寄った形跡が無いことから、エナは男を追う為にアルタイル座と行動を共にしたのだろう。
「朝までおとなしく待ってりゃいいものを…」
流石のジストも苦々しい顔で愚痴を零す。
「何だってこんな時間にまた馬車に乗ってんだよオレらは!」
エナの不在を知った二人は、つかの間の休息の後、暗い夜道の中ノービルティアに向かう途中だった。
「ありえねェだろ、フツーよォ! 運良く最終馬車のチケット貰えて、運良くノービルティアに向かうアルタイル座と接触して?! 揚げ句、あのノービルティアの入場手形まで何とかなるか?!」
なるわけがない。
普通ならば。
だが何を言おうがエナの運はそれを引き寄せた。
「……此処までの強運だと、もはや凶器だな」
彼らがエナに追いつけると思っていた理由の一つに、ノービルティアの特色が挙げられる。
ノービルティアは石の塀と、その周りに作られた堀で囲まれている。
出入口は北と南の二カ所のみ。その出入口を通るには入場手形が必要となる。
単体で乗り込んでも、新規の手形なら作成するまでに丸三日はかかる。
そうでなくとも発行に丸一日かかるのだ。
たいていが宿場町で一泊する理由はそこにある。
それがまさか、あっさりと手形を手にしているなど、普通考えつくまい。

