*
「エナ! やるじゃないか! 才能あるよアンタ!」
拍手を背に馬車に戻ったエナを出迎えたのは、興奮冷めやらぬ雑技団のオーナー兼座長の女性だった。
客引きをしていたあの女性だ。
名をヴィルマという。
エナは黒髪のかつらを取り、地毛を結わえていた紐を解いた。
頭を数回振ると、汗ばんだ頭皮に風が染み込んだ。
「アルタ座っていっても、今回サブメンバーでしょ? それでこんなけ人集まるって、やっぱ凄い人気なんだね」
「この街の人間はブランドが好きだからね。アルタイル座ってブランドが好きなんだろ。まぁ、人数は少なくても、メインメンバーの講演に引けを取らない仕上がりになった自信はあるけどね」
あんたのお陰でね、とヴィルマはウインクで告げた。
「ほんと、体は柔らかいしバネもある。体のバランスといいスタミナといい、一体どうやって鍛えあげたんだい」
ヴィルマの褒め殺し攻撃にエナは肩を竦めた。
「退屈知らずの人生だもん」
「だろうね。どうだいあんた、正式にアルタ座に入らないかい?」
エナはヴィルマの顔を見て何度か瞼を瞬かせた。
口がゆっくりと弧を描いていく。
「ダーメ。言ったでしょ? 退屈知らずの人生だ、って。……あたし、行くね」
小さなずた袋を掴んだ。
「ああ、捜し人だね」
ヴィルマにはある程度の事情を説明していた。
大道具を担当していた女性が宿場町で急に産気付いたので、エナがその補充員を買って出たわけだ。
最初は小娘の戯言と取り合ってくれなかったヴィルマに、エナは即興で舞を踊った。
息の乱れを見せず、体力には自信があることを示してみせたのだ。
ヴィルマの目はすぐに煌めき、アルタ座の講演に参加することと引き換えにノービルティアに同行させてもらえることになったのだ。
「エナ! やるじゃないか! 才能あるよアンタ!」
拍手を背に馬車に戻ったエナを出迎えたのは、興奮冷めやらぬ雑技団のオーナー兼座長の女性だった。
客引きをしていたあの女性だ。
名をヴィルマという。
エナは黒髪のかつらを取り、地毛を結わえていた紐を解いた。
頭を数回振ると、汗ばんだ頭皮に風が染み込んだ。
「アルタ座っていっても、今回サブメンバーでしょ? それでこんなけ人集まるって、やっぱ凄い人気なんだね」
「この街の人間はブランドが好きだからね。アルタイル座ってブランドが好きなんだろ。まぁ、人数は少なくても、メインメンバーの講演に引けを取らない仕上がりになった自信はあるけどね」
あんたのお陰でね、とヴィルマはウインクで告げた。
「ほんと、体は柔らかいしバネもある。体のバランスといいスタミナといい、一体どうやって鍛えあげたんだい」
ヴィルマの褒め殺し攻撃にエナは肩を竦めた。
「退屈知らずの人生だもん」
「だろうね。どうだいあんた、正式にアルタ座に入らないかい?」
エナはヴィルマの顔を見て何度か瞼を瞬かせた。
口がゆっくりと弧を描いていく。
「ダーメ。言ったでしょ? 退屈知らずの人生だ、って。……あたし、行くね」
小さなずた袋を掴んだ。
「ああ、捜し人だね」
ヴィルマにはある程度の事情を説明していた。
大道具を担当していた女性が宿場町で急に産気付いたので、エナがその補充員を買って出たわけだ。
最初は小娘の戯言と取り合ってくれなかったヴィルマに、エナは即興で舞を踊った。
息の乱れを見せず、体力には自信があることを示してみせたのだ。
ヴィルマの目はすぐに煌めき、アルタ座の講演に参加することと引き換えにノービルティアに同行させてもらえることになったのだ。

