「あるかボケっ!」
だが、もうジストは聞いていない。
「お前、馬乗れるか」
「乗れるか、そんなモン」
聞いておきながら、さも乗れて当たり前といった体のジストに、ゼルはぼそりと即答した。
「……チッ」
「舌打ちかよ?! 仕方ねェだろ!」
「そうだな、お前にゃ向かない乗り物だろうよ。居眠りして落ちるのが関の山だ」
実際、馬に乗れない理由の大部分を占めているのがそれだと自覚しているゼルは返す言葉を失った。
「まぁいい。話しておきたいこともある……馬車の方が都合いいかもしれんな」
顎に手を添えて紡ぐ一言に首を傾げる。
「明日の朝迄待つってことか?」
あのエナのことだ。
身に降り懸かるたいていの危険など自分で何とでも出来るであろうが、問題は彼女の周りに居る人たちだ。
彼女の台風のような気性に巻き込まれる人が居ることを思えば、それはもう不憫でならないし、
ラファエルを掠(サラ)った男は許せないが、エナの報復を思えば同情さえしてしまうゼルである。
一刻も早く合流した方が世間の為だと拳で断言してもいい。
そんなゼルの思惑とは違えど、ジストもまた、翌朝迄待つ気はさらさらなかったらしい。
「阿呆。そんな悠長なこと言ってられるか。俺の出る幕がなくなるだろうが」
何処まで本気なんだか、と言いたくなる台詞であったが、ジストならそんな言葉さえも本音に聞こえる何かがあった。
「馬車の一台くらいどうにかなるだろうよ。安心しろ。お前をアテにはしないさ」
反応を楽しむように、にやりと笑うジストが癪に障る。
「アンタ程、厭味が似合うヤツも珍しンじゃねーか……」
「愛情の裏返しってやつだ。感謝しろ」
まったくどのように生きれば、これほど上から目線の男に育つのだろうか。
「わざわざ裏返すなよ。わかりにくいだろーが」
.
だが、もうジストは聞いていない。
「お前、馬乗れるか」
「乗れるか、そんなモン」
聞いておきながら、さも乗れて当たり前といった体のジストに、ゼルはぼそりと即答した。
「……チッ」
「舌打ちかよ?! 仕方ねェだろ!」
「そうだな、お前にゃ向かない乗り物だろうよ。居眠りして落ちるのが関の山だ」
実際、馬に乗れない理由の大部分を占めているのがそれだと自覚しているゼルは返す言葉を失った。
「まぁいい。話しておきたいこともある……馬車の方が都合いいかもしれんな」
顎に手を添えて紡ぐ一言に首を傾げる。
「明日の朝迄待つってことか?」
あのエナのことだ。
身に降り懸かるたいていの危険など自分で何とでも出来るであろうが、問題は彼女の周りに居る人たちだ。
彼女の台風のような気性に巻き込まれる人が居ることを思えば、それはもう不憫でならないし、
ラファエルを掠(サラ)った男は許せないが、エナの報復を思えば同情さえしてしまうゼルである。
一刻も早く合流した方が世間の為だと拳で断言してもいい。
そんなゼルの思惑とは違えど、ジストもまた、翌朝迄待つ気はさらさらなかったらしい。
「阿呆。そんな悠長なこと言ってられるか。俺の出る幕がなくなるだろうが」
何処まで本気なんだか、と言いたくなる台詞であったが、ジストならそんな言葉さえも本音に聞こえる何かがあった。
「馬車の一台くらいどうにかなるだろうよ。安心しろ。お前をアテにはしないさ」
反応を楽しむように、にやりと笑うジストが癪に障る。
「アンタ程、厭味が似合うヤツも珍しンじゃねーか……」
「愛情の裏返しってやつだ。感謝しろ」
まったくどのように生きれば、これほど上から目線の男に育つのだろうか。
「わざわざ裏返すなよ。わかりにくいだろーが」
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