砂漠の賢者 The Best BondS-3

 ゼルは義手、ジストは類稀な美貌で、ただ其処に存在しているだけで目立つ。
 そればかりか歩く問題磁石が彼らの傍らには居るのだ。
 二ヶ月間、何の問題も起こさずに生活出来るとは到底思えない。
 そして彼女が問題を起こすということは、やはり目立ってしまうということなのである。

「ゼル、ジスト、気をつけてよ」

「オマエが言うかっ!!」

 ゼルの言葉はもっともだが、エナはきょとんと瞬きを繰り返した。
 自覚が無いというのは恐ろしいものである。

「……誰か、エナちゃんに教えてやってくんないかな……」

 肘をついてぼやくジストだが、どうやらエナがエナであるのならばそれでいいと本気で思っているらしい彼はあくまでも自身がエナに教える気は無いようで、結局は苦笑が唇を彩った。

「にしても、二ヶ月かぁ。リファンタ、行けるかな」

 エナの脳内では既にリゼの出した条件よりも、二ヶ月という期間を如何に過ごすかということに論点が移っているようだった。
 怪我が治るまでの日数をハリスグランに聞き、残りの日数を指折り数えているエナの片時もじっとしていられないその性質にリゼは笑う。

「追われている自覚、あるんですか?」

 その言葉に三人はきょとんとし、目配せを交わした。

「……何の話?」

 代表して問うたエナに、リゼはにっこり笑顔のまま爆弾発言をかましてくれた。

「指名手配、されてますよ?」

 一瞬の沈黙の後。

「えぇぇええっ!?」

 三人の驚愕に彩られた声と瞳がリゼに向けられた。
 それもそうだ。彼らにとってそれは正(マサ)に寝耳に水の情報だったのだから。
 おや、知らなかったんですか、とリゼがご丁寧に説明を加えてくれる。――出来れば知らずに居たかったのだが。

「先日……ああ、ちょうど一週間前のあの日ですね。父宛に送られてきた公的文書に、あなた達の外見的特徴と似顔絵……らしきものが添付されていましたよ。……懸賞金と共に」

 こんなくだらない嘘をリゼがつくとは思えない。
 ならば指名手配は既に周知の事実ということだ。
 それはわかる。
 わかるが、しかし。
 懸賞金がかかっているということは、国や街毎の保安機構に通達がいったばかりでなく、それが一般に公表されたことを示す。
 それを俗に何と呼ぶのか。
 それは……――。

「賞金首ぃぃぃ!?」

 三人の声がものの見事に重なった。