今聞いた少ない情報と、持っていた知識をうまく融合させるジストに、頭の中にはどれほどの情報収納箪笥があるのですか、と思わず問いたくなってしまう。
参加資格に家柄が必要とされると言ったリゼの言葉でおおよその参加者とプラチナのシステムまで解き明かしてしまうのだから。
だが、いよいよ会話に飽きたらしいジストは、うーん、と伸びをしてエナに笑いかけた。
「場所、替わろうか」
その言葉で初めて、エナは紫煙の存在に気付く。
そして、入ってきた言葉が遅れて脳に溶け込んだ。
話の大筋を見るに龍の書物が競売されたのは、そのプラチナオークションということだろう。
「や、いい。それよか、リゼ。その落札者、わかる?」
「さぁ……父が参加する以前の話ですからねぇ。父も行方を知りたがってましたが誰の手に渡ったかはわからなかったそうですよ」
「……そっか」
誰の目から見ても明らかに落胆を顔に書いていたのだろう。
リゼは困ったように微笑んだ。
「競売商品帳簿を見ればわかるでしょうが……」
ばん、と音が鳴る。
立ち上がったエナが勢いでテーブルを叩いた音だ。
「それ、何処に!?」
視界の隅で、音に驚いたラファエルが飛び起きるのが見えた。
「まあ、最後まで聞いてください。門外不出としてプラチナの代表者が管理しているようですよ。ただその代表者というのが一体誰だかわからないんです」
まあ、もっとも、とリゼは続けた。
「私なら暴けるかもしれませんが……」
意味ありげな視線を寄越したリゼに身を乗り出していたエナは眉をしかめる。
「タダ程怖いものはない、ってね。望み、なに?」
言っとくけどコレは無いよ、とエナは親指と人差し指を円に繋げてみせた。
「話が早くて助かりますね。勿論、欲しいものはお金なんかじゃありません」
笑顔を崩さぬままにリゼは自身の首元を指でとんとんと叩いた。
「その続き、というのは如何ですか」
エナは咄嗟に両手で首を覆った。
その手の下には、既に変色して消えそうな小さな痣がある。
不思議そうな顔をしているゼルと、我関せずを貫くハリスグランをよそに、リゼはちらりとジストに視線を送る。
優越感に満ちた笑みで。
だが、ジストは眉一つ動かさなかった。
参加資格に家柄が必要とされると言ったリゼの言葉でおおよその参加者とプラチナのシステムまで解き明かしてしまうのだから。
だが、いよいよ会話に飽きたらしいジストは、うーん、と伸びをしてエナに笑いかけた。
「場所、替わろうか」
その言葉で初めて、エナは紫煙の存在に気付く。
そして、入ってきた言葉が遅れて脳に溶け込んだ。
話の大筋を見るに龍の書物が競売されたのは、そのプラチナオークションということだろう。
「や、いい。それよか、リゼ。その落札者、わかる?」
「さぁ……父が参加する以前の話ですからねぇ。父も行方を知りたがってましたが誰の手に渡ったかはわからなかったそうですよ」
「……そっか」
誰の目から見ても明らかに落胆を顔に書いていたのだろう。
リゼは困ったように微笑んだ。
「競売商品帳簿を見ればわかるでしょうが……」
ばん、と音が鳴る。
立ち上がったエナが勢いでテーブルを叩いた音だ。
「それ、何処に!?」
視界の隅で、音に驚いたラファエルが飛び起きるのが見えた。
「まあ、最後まで聞いてください。門外不出としてプラチナの代表者が管理しているようですよ。ただその代表者というのが一体誰だかわからないんです」
まあ、もっとも、とリゼは続けた。
「私なら暴けるかもしれませんが……」
意味ありげな視線を寄越したリゼに身を乗り出していたエナは眉をしかめる。
「タダ程怖いものはない、ってね。望み、なに?」
言っとくけどコレは無いよ、とエナは親指と人差し指を円に繋げてみせた。
「話が早くて助かりますね。勿論、欲しいものはお金なんかじゃありません」
笑顔を崩さぬままにリゼは自身の首元を指でとんとんと叩いた。
「その続き、というのは如何ですか」
エナは咄嗟に両手で首を覆った。
その手の下には、既に変色して消えそうな小さな痣がある。
不思議そうな顔をしているゼルと、我関せずを貫くハリスグランをよそに、リゼはちらりとジストに視線を送る。
優越感に満ちた笑みで。
だが、ジストは眉一つ動かさなかった。

