文句を言っていいのならいくらでも言える。
が、エナは珍しくその衝動をぐっと堪えた。
更に顔には笑みまで乗せてみせる。
「リゼのこと、もっと知りたいなって思って」
語尾にはハート付き。
ジストから学んだ手腕である。
そんなエナの反応を意外そうに見つめるリゼに。
エナは嘘っぱちの笑顔を、強気な其れへと摩り替えて。
「おやつの時間だーーっ!」
両手――片手には松葉杖――を挙げてエナは大声を響かせた。
その声と共に部屋に入ってきた二人の男にいともあっさり抱えあげられ、リゼは訳も解らぬまま裏庭へと連行されることとなった。
屋敷から程近い原っぱで彼を待ち受けていたのは、簡素な木の低いテーブルに、丸太の椅子。
おそらく、物心ついてから一度も見たことが無い代物だったのだろう。
リゼは当惑しているようだった。
テーブルの上にはバスケットに入れられたサンドイッチや焼き菓子等が所狭しと並ぶ。
注がれた紅茶のカップだけがリゼの屋敷にあったもので酷く浮いて見えたが、それが『お茶会』としての尊厳を唯一保たせたものであるといえた。
そう、エナが傷を開かせてまでしたかったこととは、お茶会だったのだ。
「……何の真似ですか?」
無理矢理連れてこられた為あちこち痛むのだろう傷を押さえながら、既に紅茶を啜っているハリスグランを見ながら問いかけるリゼの顔は本当に訝しげなものだった。
ジストに肩車をさせていたエナが意気揚々と声を弾ませてそれに答える。
「天気、いいからさ」
普通ならばこの一言で伝わったのかもしれないが、リゼは養子とはいえお坊ちゃまである。
ガーデンパーティーは知っていても『外で食べる』という概念が元々無い。
彼にとって『お茶会』とは、何百人も招待して行うものなのだ。
その足りない言葉をゼルが埋める。
「外で飯食おうって、エナがな」
「ジストさんは、お前なんか誘うなって言ったんだけどねー」
エナの腰を掴んで丁寧に地面に下ろしたジストは、そのままエナの頭に手を置いた。
「でも、皆で食べたほうが美味しいでしょ」
幸せそうな顔で、幸せそうな声でエナは周りに同意を求める。
一人での食事ほど味気ないものは無い。
だが、リゼは全く別のところに疑問を持ったらしかった。
が、エナは珍しくその衝動をぐっと堪えた。
更に顔には笑みまで乗せてみせる。
「リゼのこと、もっと知りたいなって思って」
語尾にはハート付き。
ジストから学んだ手腕である。
そんなエナの反応を意外そうに見つめるリゼに。
エナは嘘っぱちの笑顔を、強気な其れへと摩り替えて。
「おやつの時間だーーっ!」
両手――片手には松葉杖――を挙げてエナは大声を響かせた。
その声と共に部屋に入ってきた二人の男にいともあっさり抱えあげられ、リゼは訳も解らぬまま裏庭へと連行されることとなった。
屋敷から程近い原っぱで彼を待ち受けていたのは、簡素な木の低いテーブルに、丸太の椅子。
おそらく、物心ついてから一度も見たことが無い代物だったのだろう。
リゼは当惑しているようだった。
テーブルの上にはバスケットに入れられたサンドイッチや焼き菓子等が所狭しと並ぶ。
注がれた紅茶のカップだけがリゼの屋敷にあったもので酷く浮いて見えたが、それが『お茶会』としての尊厳を唯一保たせたものであるといえた。
そう、エナが傷を開かせてまでしたかったこととは、お茶会だったのだ。
「……何の真似ですか?」
無理矢理連れてこられた為あちこち痛むのだろう傷を押さえながら、既に紅茶を啜っているハリスグランを見ながら問いかけるリゼの顔は本当に訝しげなものだった。
ジストに肩車をさせていたエナが意気揚々と声を弾ませてそれに答える。
「天気、いいからさ」
普通ならばこの一言で伝わったのかもしれないが、リゼは養子とはいえお坊ちゃまである。
ガーデンパーティーは知っていても『外で食べる』という概念が元々無い。
彼にとって『お茶会』とは、何百人も招待して行うものなのだ。
その足りない言葉をゼルが埋める。
「外で飯食おうって、エナがな」
「ジストさんは、お前なんか誘うなって言ったんだけどねー」
エナの腰を掴んで丁寧に地面に下ろしたジストは、そのままエナの頭に手を置いた。
「でも、皆で食べたほうが美味しいでしょ」
幸せそうな顔で、幸せそうな声でエナは周りに同意を求める。
一人での食事ほど味気ないものは無い。
だが、リゼは全く別のところに疑問を持ったらしかった。

