「望む望まないに関わらず、お前は諸刃の剣なんだよ」
良いものも悪いものも惹き付けるんだ、とジストは言った。
狙われもするし、逆に生かされもする、と。
だから割り切って開き直れと、そう聞こえた。
犠牲を強いても、それを自身で責めるなと。
責めてはいない、ただ無力な自分が嫌なだけだと言えば、彼はどんな顔をするだろう。
犠牲を責められないからこそ苦しいのだと言えば、彼は――……。
「……お前がいつか、死を願うなら……」
思考を遮られた静かな声には覚悟が宿っていた気がした。
けれど、ゆっくりと体を離したジストは遠い昔を見るような目をしていた。
まるで、エナに誰かを重ねているような。
「……その時は俺が殺してやるよ」
ああ、ゼルから聞いたのか、とエナは思った。
では彼は悟ったのだろう。
自身がジストを契約で縛り付けた、本当の理由を。
「だから……」
低い声が月の光と重なり体へと溶けていく。
ぞんざいとさえ呼べる口調で傲慢と呼べる笑みを宿し、彼は言った。
「勝手に死ぬことは許さんぞ」

