砂漠の賢者 The Best BondS-3


「望む望まないに関わらず、お前は諸刃の剣なんだよ」

 良いものも悪いものも惹き付けるんだ、とジストは言った。
 狙われもするし、逆に生かされもする、と。
 だから割り切って開き直れと、そう聞こえた。
 犠牲を強いても、それを自身で責めるなと。
 責めてはいない、ただ無力な自分が嫌なだけだと言えば、彼はどんな顔をするだろう。
 犠牲を責められないからこそ苦しいのだと言えば、彼は――……。

「……お前がいつか、死を願うなら……」

 思考を遮られた静かな声には覚悟が宿っていた気がした。
 けれど、ゆっくりと体を離したジストは遠い昔を見るような目をしていた。
 まるで、エナに誰かを重ねているような。

「……その時は俺が殺してやるよ」

 ああ、ゼルから聞いたのか、とエナは思った。
 では彼は悟ったのだろう。
 自身がジストを契約で縛り付けた、本当の理由を。

「だから……」

 低い声が月の光と重なり体へと溶けていく。
 ぞんざいとさえ呼べる口調で傲慢と呼べる笑みを宿し、彼は言った。

「勝手に死ぬことは許さんぞ」