砂漠の賢者 The Best BondS-3

「当たらずとも遠からず、ってとこかな」

「満身創痍のあたし相手に謎掛け、やめてくんない?」

 思考を巡らすだけでも体力を使うのだ。
 ジストもわかっているだろうに、敢えてはぐらかすような言動を選んでいるような気がする。
 けれどエナが引き下がらないのも感じたのだろう、ジストは観念したように口を開いた。

「なら白状するけど……落ち着いて聞いてね?」

 落ち着くも何も暴れる体力など無かったわけだが、エナは一応頷く。
 だがそのすぐ後でジストが釘を刺した意味を知る。

「……リゼは、消火活動を拒否した」
「え……?」

 信じられない言葉が耳に入り、エナは思わず肘をついて半身を起こした。
 まだ少し、軽度の頭痛と胸焼けを起こしたときのような吐き気があることに気付く。

「まだ起きるなと言ってるだろうが」

 それでももう彼は無理矢理寝かせようとはしなかった。

「消火拒否って、どゆこと?」

 エナはそれには答えず、質問を重ねる。
 エナが凝視する中、ジストは視線を逸らした。

「燃やし尽くして別邸に移るらしいよ。エナちゃんもそっちに移すって話だったんだけど、あいつが警備隊にでっちあげた事情を説明している間はどうしようもないからね。此処で休憩してたってわけ」

 それに、とジストは言葉を次いだ。

「先に話しておかないと、エナちゃん暴れかねないからね。別邸を使っても良いらしいけど、さて、エナちゃんはどうしたい?」

 どうしたいと聞かれても困る。
 思うように動けない自身に決定権があるとは思えないし、今はそんなことを考えられる心境ではない。

「どうだっていい。それより、動物達は?」

 あれだけの数の獣達の行方が気になった。

「俺は全て片付いた、って言ったよね?」

 言葉を濁すことが既に答えを表していた。

「それって……」

 ぽん、と頭に置かれた手を勢いよく振り払う。

「なんで、止めなかったの!?」

 燃えたのだ。
 燃やしたのだ。
 あの全ての動物達は煙に巻かれて死んだのだ。
 遺伝子操作で生まれたとしても、命は命だというのに。
 飼い主という権限だけで、動物達を殺したのだ。
 くつりと喉を鳴らしてジストは答えた。