髪を掻き揚げるその仕種。
飛び散る雫が光をうけて輝く。
しなやかな筋肉も、見え隠れする顔の形も。悔しいけれど、どんな絵画よりも美しい。
その視線に気付いたのか、ジストはエナを横目で見て意地悪そうに笑った。
立ち上がり、戻ってくる。
普段、あまり見ないジストの濡れ髪。
紅が更に深く染まり、髪から頬へと水滴を垂らす。
妖艶さがむせかえる程に色濃く立ち上る彼は普段とはまるで別人。
だが、そんな色香もエナには通用しない。
「なぁに、見惚れちゃった?」
ジストはエナの隣に腰を下ろした。
「自信過剰」
くすくすと笑う気配を隣にエナは吐き捨てるように言って、再び夜空を仰いだ。
夜空と言っても空の半分は伸びる枝によって塞がれていたが。
綺麗だなぁ、と思ったところでエナはふと疑問を抱く。
「ね、手当てってさ……誰が?」
銃弾が体を突き抜けなかったのはエナ自身わかっていた。
そして現在、その弾が取り除かれていることも。
じくじくと痛んでも、あの神経を刺すような痛みは無かったから。
となれば、素人の手によるものではないし、医者に行ったのならば、ジストが自分を此処に連れてきた理由がわからない。
目覚めた場所が病院でも宿でもなく、何故、上層の林だというのか。
「まぁた質問?」
やれやれ、とでも言いたげな口調だったが、どことなく声が重い。
おそらく自身の中に湧いた疑問をこの男は気付いている、とエナは感じた。
「……答えて。」
強く促すと、美しい唇からは溜め息が零れた。
「あの坊っちゃんは心臓が弱いらしいよ」
あの坊っちゃん、というのがリゼだということはすぐさま理解出来たが、そんな情報等は欲していない。
何故そんなことを言い出すのか――実のところ、ある種の予測はたっていたが――エナは首を傾げた。
「エナちゃんを治療したのは、あいつの掛かり付けの医者」
ああやっぱり、とエナは心中で呟いた。
それと同時にジストの口調が戻っていることに気付く。
声が低いままだが、それでもこれはいつものジストだ。
「それで……あたしが起きた時、リゼが居たらまた暴れると思って此処に?」
ジストは眉を引きあげて、どうかな、と答えた。
飛び散る雫が光をうけて輝く。
しなやかな筋肉も、見え隠れする顔の形も。悔しいけれど、どんな絵画よりも美しい。
その視線に気付いたのか、ジストはエナを横目で見て意地悪そうに笑った。
立ち上がり、戻ってくる。
普段、あまり見ないジストの濡れ髪。
紅が更に深く染まり、髪から頬へと水滴を垂らす。
妖艶さがむせかえる程に色濃く立ち上る彼は普段とはまるで別人。
だが、そんな色香もエナには通用しない。
「なぁに、見惚れちゃった?」
ジストはエナの隣に腰を下ろした。
「自信過剰」
くすくすと笑う気配を隣にエナは吐き捨てるように言って、再び夜空を仰いだ。
夜空と言っても空の半分は伸びる枝によって塞がれていたが。
綺麗だなぁ、と思ったところでエナはふと疑問を抱く。
「ね、手当てってさ……誰が?」
銃弾が体を突き抜けなかったのはエナ自身わかっていた。
そして現在、その弾が取り除かれていることも。
じくじくと痛んでも、あの神経を刺すような痛みは無かったから。
となれば、素人の手によるものではないし、医者に行ったのならば、ジストが自分を此処に連れてきた理由がわからない。
目覚めた場所が病院でも宿でもなく、何故、上層の林だというのか。
「まぁた質問?」
やれやれ、とでも言いたげな口調だったが、どことなく声が重い。
おそらく自身の中に湧いた疑問をこの男は気付いている、とエナは感じた。
「……答えて。」
強く促すと、美しい唇からは溜め息が零れた。
「あの坊っちゃんは心臓が弱いらしいよ」
あの坊っちゃん、というのがリゼだということはすぐさま理解出来たが、そんな情報等は欲していない。
何故そんなことを言い出すのか――実のところ、ある種の予測はたっていたが――エナは首を傾げた。
「エナちゃんを治療したのは、あいつの掛かり付けの医者」
ああやっぱり、とエナは心中で呟いた。
それと同時にジストの口調が戻っていることに気付く。
声が低いままだが、それでもこれはいつものジストだ。
「それで……あたしが起きた時、リゼが居たらまた暴れると思って此処に?」
ジストは眉を引きあげて、どうかな、と答えた。

