「……やめようよ、こーゆーの……」
げんなりとエナは呟いた。
第一、何桁なのかもわからない。
「ラフ、あんたコレの数字知らな……あっ!」
言いかけて、エナの頭の中にあることが思い起こされる。
ラファエルがきょとんとした目で見上げる。
――あの数字……!
先ほどパネルでラファエルを探した時。
「犬」と表示された隣に何かしらの番号が書かれてはいなかったか。
勿論その数字が首輪のものだとは限らないが、それ以外に宛もない。
「えっと、確か、三……?」
脳に残っている映像を掘り起こす。
見たままの光景を記憶として留めるエナの瞼の裏には、先ほどの電光掲示板が浮かび上がる。
――ほら、そのまま……。
見えてきた数字。
と、そこで怪鳥のけたたましい三重奏がエナの思考を遮った。
案の定、気が短いエナは胸元からナイフを取り出すや否や怪鳥へと投げつけた。
そして、一喝。
「黙ってろっ!!」
その迫力たるや、大抵の人間の肝を冷やすだろう勢いで、さしもの怪鳥も本能的に口をつぐんだ。
一瞬の静寂と知るからこそ、エナは再び目を瞑る。
怪鳥が再び鳴きだす。
エナが大きな目を開く。
その口元には笑み。
「大丈夫」
心配そうに見上げるラファエルの頭を撫でて、エナはラファエルの首輪に数字を打ち込む。
「三、二、六……認証っと!」
えいっ、と力を込めて認証キーを押す。
が、そこに期待した変化は見られなかった。
首輪には「ERROR」の文字。
「じゃあ、あの数字の意味、何!?」
首輪を思いっきり地面に投げつけようと腕を振り上げるが、ラファエルが抗議の声を上げたことで踏み留まる。
「あ、ごめ。」
危うくラファエルごと投げるところだった。
エナは中途半端に謝った後、両手を広げて大きく深呼吸をした。
気が立っていることを自覚した時に、いつもする行為だ。
「落ち着け、あたし」

