「じゃあ、ちょっと俺用事あるから。」


南高前、先輩はいつも降りない。


そんなこと、わかりきってることなのに何故か悲しいのは、


降りない理由を知ってしまったから。


「はいっ!」


できるだけ笑顔で返す。


―――プー


ガタン、と電車は動き出す。


窓越しに先輩はあたしに手を振る。


それだけで、


(つ・・・)


胸が苦しい。