手が届く場所

「相変わらず態度わりぃな。」


ご機嫌な冬馬が俺に言う。


その通りだから反論なんてできやしないけど、
それでも嫌いなものは仕方がない。


アイツらは校舎内に入って来たのか、
大場が俺の頭に手をおき、
お外には興味無さげに喋りだした。


「いや、今更っちゃ今更なんだけど…

南海ってなんで"蒼龍"嫌いなの??」


声に出してはっきりと嫌いと言った事はなかったな。
大場の問いかけにそんなことを思う。


「別に、"蒼龍"そのものはどうでもいい。」


紛れもない、俺の本心だ。

だって俺が嫌いなのは、"蒼龍"のトップ


「んじゃ、和希さんが嫌いってこと?」


加藤和希。


冬馬の言葉に、頷いた。