私の顔を覗き込むようにして、新道寺さんは言った。
な、名前呼び?
私にそんなハードなことをしろと!?
恥ずかしくて、死んじゃうよきっと。
「ほらほら、早くー」
「い、い、いいいいい、い、い、く…と……?」
「え?聞こえないよー」
うぅ、頑張ったのにぃ。
新道寺さんは面白がっているのか、耳に手を当てて「もう一回」と言って急かす。
「い、郁人……くん」
私は恥ずかしさのあまり、最後に「くん」をつけてしまった。
人見知りに、いきなりこんなハードルの高い要求、無茶だよぉ。
「ま、いっか。君付けも可愛いしね♪」