やっぱり、知ってるんだ。私の存在。
「博さんと会う度、雫ちゃんの話ばっかだよ」
「えっ、そうなんですか?」
「そうそう。『雫がね』って、もうベタ惚れって感じでさ」
そ、そうだったんだ……。
恥ずかしくなって、私は俯く。
博ってば……。
「センセー、雫ちゃんの席、ここでもいーい?」
窓際の後ろ側から聞こえてきたのは、新道寺さんの高めの声。
「あそこがちょうど空いてるみたいだな。
よし、いいぞー」
一之江先生は、私に「あそこが雫ちゃんの席だ」と指をさしながら教えてくれた。
「こっちだよー、雫ちゃん」



