「幼い子を、なーにしようとしてるんですか?」 振り返ると、そこには“知っている”人がいた。 この人……。 会ったのは、初めてだった。 だけど、きっと彼は私のことなんて知らないだろう。 「!お前は……」 「行こうぜ」 大学生二人組は、彼を見ただけで、私の腕を掴んでいた手を放して、どこかへ去っていった。 そのことに安心して、ホッと息を吐く。 それにしてもすごい。 彼が現れただけで、さっきまでの状況が変わってしまうなんて。