――理事長室へ向かい、トントンッとノックをする。
「はーい、入って~」
お気楽な声が聞こえ、ビクビクしていた心が落ち着いていく。
「し、失礼します……」
私は恐る恐る中に入る。
「いらっしゃい、雫ちゃん」
「えっと、あの……」
「ふふっ、そんなに硬くならないで?A組のこと、ちゃんと説明するわね」
「は、はい」
美人な理事長に白いソファに座るよう言われたので、私はその指示に従い、ふかふかのソファに座った。
桃のいい香りがする紅茶が出され、私はそれに口をつける。
「A組への移動はね、博に頼まれたの」