『これ、何なの?ねぇ、早く言ってよっ』 お母さんは、泣いていた。 静かに、声もあげずに。 お母さんの持っていた物は、お父さんの携帯だった。 どうやらお母さんは、お父さんの携帯を見てしまったらしい。 そして、見てはいけないものを、見てしまった。 『……それは』 お父さんは長い長い沈黙を破り、やっと話しだした。 『助手との、メールだ』 お父さんの助手をしている人とのメール。 たったそれだけの答えで、お母さんは納得しなかった。