当時の俺は、よく笑う子だった。 楽しいことや面白いことがあるとよく笑い、素直で純粋だった。 『それじゃあ、行ってくる』 ある日の朝。 その日、一番早く家を出たのはお父さんだった。 なんでも、大学で朝から講義があるんだとか。 『行ってらっしゃい、あなた』 お母さんはお父さんの頬にキスをして、お父さんを送った。 俺が見てる前でもそういうことを平気でやるから、少し恥ずかしくなる。 でも、ラブラブな二人に、微笑ましくもなった。 ……けれど、二人のそんな姿を見たのは これで最後になったんだ。