『お父さん?僕だよ、郁人だよ?』 『来るな!!お前は郁人じゃない、化け物だ……!』 化け物? なんで、そう言うの? 僕だよ。郁人だよ。 お父さん……、忘れちゃったの? 病室を出ると、ちょうどお父さんを担当しているお医者さんがいた。 『お父さんはね、今幻覚を見てるんだ』 『幻覚?』 『そう。郁人くんが郁人じゃなく見えるんだ』 ……嫌だな、それ。 お父さんには、僕が化け物に見えちゃうなんて。