瞬間、
郁人くんの目つきが変わった。
郁人くんに当たりそうだった男の手を、瞬時に郁人くんは掴む。
男は掴まれた手を郁人くんの手から離そうとしても、離せなかった。
それほど強い力で、掴んでいるということだろう。
「郁人くん……?」
郁人の瞳はギラリと、獲物を狙っているようだった。
何かに怯えていることを悟られないように、わからせないように、自分自身を閉ざしたかのような――。
そして郁人くんは、男の後ろに回り込み、男の首に一発手刀を入れた。
たったそれだけ、たった一発で、黒のスーツをまとった男は気を失ったのか、倒れてしまった。



