それらを全てひとりで郁人くんが行うのは、どうも無理がある。
二人くらいいれば、なんとかなるんだけど。
郁人くんはひとり。
私だったらひとりでも出来ちゃうけど、私が出るわけにもいかない。
……あぁ、やっぱり私は役立たずだ。
こんな時だって、なんの力にもなれていない。
チラッと裏路地の様子を見てみると、
郁人くんが麻薬だと思われるものを取り、黒のスーツを着ている男に蹴りを一発食らわしていた。
どうやら黒のスーツを着ているあの男が、麻薬を渡していた人らしい。
「麻薬は神雷が預からせてもらう」
郁人くんの発した低い声が、裏路地に響く。
空が暗い青に包まれていき、光がなくなっていく裏路地。



