郁人くんは路地に入る前に、私にそう言った。
その時の郁人くんの表情には、可愛らしさなんてかけらもなく、ドキッとさせられた。
初めて見た郁人くんの姿に、私はドギマギしながら頷く。
そして、二人組の男を追って、裏路地へと向かった。
私と郁人くんは裏路地の一歩手前で足を止め、様子を伺う。
「――例のアレ、ください」
聞こえてきたのは、二人組の男の片方の声。
多分……道を間違えた、金髪のほうだ。
「金出しな」
……この声は、二人組の男のどちらでもない。
ということは、もうひとりいるってことか。
低い声に、嫌な感じがする。



