郁人くんからの返事はない。
どうしたのかな?
私は郁人くんの俯いた様子が気になって、顔を覗き込む。
え……?
郁人くんは、唇を噛み締めて、必死に何かに耐えるようにギュッと目をつむっていた。
「い、くと……くん?」
郁人くんを呼んだ私の震えた声に、郁人くんはハッと目を開ける。
私、何か言っちゃいけないこと……言ったのかな?
「夜は……僕以外の誰かがパトロールするんだよ」
郁人くんは、さっきまで辛そうにしていた様子なんてこれっぽっちも見せずに、いつもみたいな笑顔を向けた。
そのことが逆に辛くなって、私の胸が締め付けられた。



