そう思っているけれど、私は気になって振り返った。
人が多すぎて、さっき私とすれ違った人なんて見えなくて。
私は目を伏せて、前を向く。
やっぱり違ったんだよ。
博と似ている匂いだっただけ。
もしかしたら、博と会っていない寂しさが私に見せた幻だったのかも。
「雫ちゃん?」
「な、なに?」
ボーッとしすぎて、歩くペースが遅くなってしまった私を不思議に思ったのか、郁人くんが顔を私に向けて、声をかけた。
「大丈夫?」
私、そんなに寂しそうだったかな?
大丈夫?、って聞かれるほど、辛そうだったのかな?
ダメじゃん私。心配かけちゃってさ。



