「……え?」
今まで気配を消していたのか、人が多いせいなのか、瀬戸川さんの存在に今の今まで気づかなかった。
いや、それよりも。
今、瀬戸川さん、なんて言ったの?
「さっきは、言いすぎた」
瀬戸川さんの声は本当に小さかったはずなのに、どうしてかクリアに聞こえた。
瀬戸川さんは私の腕を縛っている縄を、解いてくれているらしく、私は今、彼がどんな表情をしているのか見えない。
「あ、あの、いいんですか?女嫌いなのに、その……」
こんなに近づいて。
最後は言葉にしなかった。
だけど、なんだか申し訳ない気持ちになって、俯いてしまう。



