潤んでいく瞳を隠すように、私は瀬戸川さんに背を向けて走った。 逃げたんだ。 私は、現実から。 「…!あいつ、泣いてた……?」 驚いた顔をしている瀬戸川さん。 私はそんな彼のことなんて知る由もなく、教室へは行かずに、そのまま学校を出た。 行き先なんてないまま、ただ無我夢中に走っていた。 これから起こることを、予知することもなく 私は運命に、身を任せた。