寝巻に着替え、部屋のベッドで横になりながら卓上カレンダーをぼんやりと眺めていると、美耶子と出会ってから、すでに二ヶ月も時が流れているという事実に気がつき、ぼくは文字通りベッドから跳ね起きた。
以前は一週間が一か月にも感じられていたことを考えると、驚くと同時に、時間というものの不可思議さについて考えずにいられない。
あれからぼくたちは、恋人同士になったわけではなかったが、とにかくよく一緒にいた。
さすがに昼休みまで一緒にいることはなかったが、相変わらずすることのない補講では、他の科目の宿題をしながら延々と話し続け、帰りが一緒の日は美耶子の家に寄り、先週の日曜には、美耶子がこの部屋を訪れた最初の友人となった。
もちろん、できることなら彼女とちゃんと付き合いたかったが、彼女はぼくよりもたった一つとはいえ年上だし、彼女が英語も日本語も堪能なのに対して、ぼくは英語はまったくダメ。そして何より、彼女は人気者でたくさん友達がいるのに、ぼくは根暗で友達がひとりもいないことが、何と言うか、ぼくたちふたりの人間としての釣り合わなさを、決定的に象徴しているような気がした。
彼女はぼくのことをどう思っているのか。
彼女は何でも話してくれるけれど、それはぼくのことを無害な弟のように思っているからではないのか・・・。
時計の針の音でふと我に返ると、自分がそんなことを二か月間も延々と考え続けていたという事実に気がつき、ぼくは枕に顔を深くうずめて、人生で四番目くらいに長いため息をついた。