この恋心に嘘をつく


ネットで写真を見たはずなのに、すっかり忘れていた。


(興味なかったから…)


本人に言ったら、あの無表情が崩れてしまうかも。


「次からは気を付けなさい!」


ファイルを投げるように渡され、凛子は感謝の言葉を飲み込んでしまった。


「怖いわねぇ、清瀬さんったら」

「羽村さん…」


落ちていたファイルを、羽村が拾ってくれた。


「彼女は熱心な副社長派だから」

「副社長派…」


また、その話か。

秘書室だけの話かと思っていたが、実は他部署でも同じ話をされた。

君は専務派?

と。


「資料はこれで全部?」

「えぇ。後は、朝田さんに渡すだけ」

「私が渡しておく。お昼、まだでしょ? 行ってきて」