この恋心に嘘をつく


予想外の質問に、反応が遅れてしまった。


「知り合い、ですか? いないと思いますけど…」


記憶を辿るが、家族にも友達にも、サクラで働いている者はいない。

関係者もいなかったはずだ。


凛子の答えを聞いた環は、安堵したように息をつく。


(何か意味があるのかしら…)


知り合いがいたら、まずいのだろうか?

聞いてみようかと思ったが、余計な詮索はやめておいた。

答えてくれないような気もしたし。


「――くしゅっ」


くしゃみが出て、鼻をすする。

もうすぐ春とは言え、夜間はかなり冷える。

上着を着ていても、手足が冷たい。


「そろそろ帰るよ。何かあれば、遠慮なく連絡を」

「はい。…おやすみなさい」