この恋心に嘘をつく


時間が空けば、別の誰かを見つけるかもしれない。

環の言葉を待つ間、ずっと自分の手を握りしめていた。


「わかった。その間に、こちらも準備をしておこう」

「い、いいんですか?」

「構わない。むしろ、好印象だ」


優しい笑顔を向けられると、いたたまれなくなる。

視線を泳がせながら、次の言葉を探す。

あまり沈黙にはなりたくない。


「何か、必要なものとか、ありますか?」

「書類関係は、おって連絡する。スーツは持ってる?」

「リクルートスーツが1着だけ…」


躊躇いがちに答えると、環が呆れたような顔をしていた。


「スーツについては、後で考えよう。1つ、重要なことを聞いていなかった」


環の真面目な声に、再び緊張の波が押し寄せる。


「うちの会社に、個人的な知り合いはいるか?」