環が安堵の笑顔を浮かべる。
凛子にはメリットの多い話だが、断られる可能性がゼロではない限り、不安は消えなかったのだ。
「ただ、1つだけお願いがあります」
強い声で、凛子が話を続ける。
「1ヶ月だけ、待ってもらえますか?」
「1ヶ月? 理由は?」
「アルバイトとは言え、1年間お世話になったんです。すぐにやめるなんて無責任なこと、できません」
だから、仕事の引き継ぎなどのために、1ヶ月欲しい。
「バイト先には、もう?」
「伝えました」
残念そうだったが、凛子の就職を心から喜んでくれた。
店長は、1ヶ月後じゃなくてもいいと言ってくれたが、これは自分なりのけじめだ。
「ダメ、でしょうか?」
環の様子からして、早く来て欲しいようだった。



