「あの専務が、社長の誘いをキャンセル? ……ありえない」
明日は雪が降って、雷が鳴って、台風になる。
そのくらい、ありえない事が今、目の前で起きた。
電話の相手がとても気になるけれど、今はこの【事件】を誰かに喋りたい!
我慢できない笑みを浮かべて、秘書室への帰りを急いだ。
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出かけるつもりはないから、何も持たないまま、外へ出た。
上着だけ羽織り、アパートの前で待つ環の元へ歩み寄る。
「こんばんは」
「こんばんは。早い返事に、正直驚いてる」
笑う環を見上げ、凛子は苦笑する。
確かに、自分でも早すぎると思った。
話を聞いたのは、昨日だ。
しかも、まだ24時間も経っていない。
「この話を、受けようと思います」
「そうか。良かったよ」



