この恋心に嘘をつく


特技はこれといってないが、タイピングには少しだけ自信がある。


「専務の写真は…」


疑ってるわけじゃないけど、確かな証拠が欲しい。

画面を睨むように見つめ、やがて、肩から力が抜けた。


「専務取締役――宮ヶ瀬 環……」


笑顔が似合う写真の男性には、見覚えがある。

絶対に、間違いない。

彼は、嘘をついてはいなかった。


「副社長がお兄さんで、常務が弟。…社長がお父さん」


ネットを泳いでみれば、ネタはいくらでも転がっていた。

名門宮ヶ瀬家の、イケメン兄弟たち――。

メディアへの露出は控えているようだが、注目を集めるには十分らしい。


ノートパソコンを閉じて、昨日着ていた上着を探す。


「あった」