「……お願いします」
抵抗するより、諦めた方が良さそう。
助手席に乗り込み、シートベルトに手を伸ばす。
車は静かに走り出し、凛子は先程のファミレスでの会話を思い出していた。
願ってもない話だし、今すぐにでも飛び付きたいくらいだ。
でも、理性がそれを押し留めた。
(わざわざ外で秘書を探す理由が、私にはわからないのよね…)
聞いても教えてはくれない、ということは、簡単な理由ではない、と考えられる。
(良い話には裏がある、って言うし…)
一見すると、環は人が良さそうに見える。
笑顔が多いし、言葉も優しい。
でも、自分を隠すのが上手い人にも見える。
(…考えすぎ、かな)
そんなことよりも、今は秘書の件を受けるかどうか――それを考えなくては。



