この恋心に嘘をつく


「日付も変わったし、送るよ。返事は、名刺裏の番号に頼む」


言われて、ポケットに仕舞っておいた名刺を取り出してみる。

確かに、裏に携帯の番号が書いてある。


「何か違うんですか?」

「裏の番号は、プライベート用だ」

「……へぇ」


つまり、携帯を2台持ってるということ?

そういうものなの?


レジへ向かう環の後に続きながら、感覚の違いを思い知る。


「あ、自分の分は払います」

「気持ちだけもらっとくよ」


財布を取り出そうとしたが、環が素早く会計を済ませてしまって、出す暇もなかった。


「送るよ。家は?」

「近いので、歩いて帰ります。宮ヶ瀬――さんこそ、早く帰って休まないと」


丁重に断るが、環はほぼ聞き流しているようだ。

その証拠に、当たり前のように助手席のドアを開けて待っている。