「1つだけ、答えてください。――私が使えなかったら、捨てますか?」
凛子には、秘書の経験なんてない。
使えない人間をわざわざ傍に置いて置くほど、彼も酔狂ではないだろう。
少し意地の悪い質問だと思ったけど、聞かずにはいられなかった。
心臓の鼓動が、やけに速い。
環の答えを、凛子は不安でいっぱいの面持ちで待っていた。
一体、どんな答えが返ってくるのか――。
「――俺は、自分で掴んだものを簡単には手放さない」
返ってきたのは、予想外の言葉と、自信たっぷりの微笑みだった。
つい、その笑顔に見とれてしまう。
「それが、答えだ」
「…つまり、終身雇用、ですか?」
「――そう来るか。まぁ、そう受け取ってもらってもいい」
自分なりに、環の答えを解釈してみたのだが、彼は何故か、可笑しそうに笑っていた。



