強い意思を感じて、それ以上は追及出来そうもなかった。
彼にとって、凛子は自分の秘書に雇いたいとは思うけれど、まだそれ以上の存在ではないということだ。
「……」
環の顔をジッと見つめ、考え込む。
こんなチャンス、もう二度と来ないかもしれない。
相手は大企業の専務――いい加減なことはしないはずだ。
「すぐに答えがほしいわけじゃない。けど、よく考えてみてほしい。この話は、メリットの方が大きい」
「……」
凛子が得るものは、確かに大きい。
誰もが知る大企業に就職できるのだ。
でも、環のメリットはわからない。
秘書を得るだけ?
疑問のすべては、解決されないまま。
空から降ってきたようなこの幸運を、自分はどうするべきなのか。



