この恋心に嘘をつく


「それは当たり前です」

「大切なことだ、自分の感情を制御できる、ってことは」


コーヒーが無くなって、環は一旦、ドリンクバーへと向かう。

席へ戻ると、話を再開。


「決定打は、万引き犯の時だな。あの行動力は、素晴らしい」

「あれは、反省してます…」

「確かに、すべてを褒めるわけにはいかないな」

「……」


ここにきて、ある疑問が頭に浮かんだ。


「1つ質問です。わざわざ自分で秘書を探す必要があるんですか? それも、会社の外で」


大企業の専務なのだから、多少なりとも人事に融通はきくはずだ。

なのに、社内で優秀な人物を探すこともなく、フリーターの自分を雇おうとしている。

すんなり納得はできない。


「理由はある。けど、今は話さない」