この恋心に嘘をつく


「…私の話、聞いてました?」


今の話のどこを聞いたら、雇いたいと思うのか。

目の前の男が何を考えているのか、全然わからない。


「やりたいことがない、ね」


凛子の言葉を、環が繰り返す。


「自分の意思がない。――いいじゃないか。つまり君は、何にも染まってない、ってことだ」

「染まって、ない?」

「透明っていう意味」


ますますわからない。

混乱する頭を、必死に働かせる。


「君を雇いたいと思ったのは、君の仕事を見たから」

「仕事? コンビニのことですか?」


それ以外に思い付かない。

環は頷き、話を続ける。


「酔っぱらいの対応は見事だった。タバコを投げつけられても、次の客を優先して、怒りを抑えてたし」