この恋心に嘘をつく


そうだとするならば、派閥争いが起きていても不思議ではない。

凛子の問いに、環は真剣な声で答えてくれた。


「俺は、会社を継ぎたいわけじゃない。けど、会社を継げば俺の目的は果たされるような気がするんだ」

「目的? 目的って、なんですか?」


環は、答えない。

凛子の問いは、宙に浮いたまま。


「……今はまだ、話せない」

「……」

「誤解するな。今は、だ」


環の言葉に、凛子は目を見開く。

今は?
じゃあ、いつかは話してくれるの?


「その、それって…」

「今日来た理由を、まだ話していなかったな」


環が、凛子と向かい合う。
視界の端には、優雅に泳ぐ魚達。

他人事のように、やっぱり環の顔は綺麗だな、と思う。