この恋心に嘘をつく


笑いながら、ペンを走らせる。

明日には、消してしまわないと。
環の番号――。




*****


徹夜が続くと、やはり体が辛い。
けれど、忙しい間は余計なことを考えなくていいから。

環はファイルを開き、書類に不備がないか確認する。


「……これでいい。社長に渡してくれ」

「はい」


凛子が辞めてから、四日目。
相変わらず、休みと秘書室には伝えているが、そろそろ限界だろう。


(新しい秘書を探すか、それとも妥協するか…)


選択肢はいろいろあるが、どれも選ぶ気にはなれない。

自分で選んで、自分で決めたのはただ一人――凛子だけだ。


「……はぁ」

「お疲れのようですね。こちらをどうぞ」