この恋心に嘘をつく


それは、忘れろということ?

それとも、彼女を迎えに行けと?


「何事も、専務次第です。失礼します」


観月は専務室を出ていく。

ひとりになると、やけに静かに感じてしまう。


「……はぁ」


ファイルを閉じ、背もたれに体重を預ける。
視線を上げれば、天井が良く見えた。

新しい秘書を探せばいい。

けれど、そんな簡単な事ならば、わざわざ社外で探したりなんかしなかった。


「……少し、疲れた」


瞼を閉じて、肩から力を抜く。

自分は、どうしたいのだろうか――…?




*****


電話に気づいたのは、お風呂からあがってしばらく経ってから。

誰からだろうと見てみれば、母親からだった。