この恋心に嘘をつく


環が睨むように、こちらを見下ろす。


「あの、これは…」


思わず口から漏れそうになる言い訳。

けれど、環は耳を貸すつもりはないらしい。


「痛…っ」


腕を掴まれ、強引に立たされた。


「仕事がありますので、失礼させていただきます」

「そう、忙しいものね」

「――行こう」


環に引っ張られながら、カフェを出ていく。

外へ出ると、環はタクシーを呼び止める。


「あ、あの…」

「――」


有無も言わさず、タクシーに乗せられた。


「出してください」


環の言葉と同時に、タクシーは走り出す。
会社とは逆の方向に。