この恋心に嘘をつく


信用は、どうやって得ていた?

信頼は、どうすれば得られた?

意識すると、こんなにも難しいなんて――。





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大人になるってことは、知らんぷりをすることでもあるのだと思う。

昨日の口論も、怒りも、苦しさも知らないふりをして顔を合わせる。


「ナツメ商事の会長の祝賀パーティーへの出席を、社長から頼まれました。幸い、パーティーの日は予定が空いています。どうされますか?」


努めて冷静に振る舞うが、顔は直視できない。


「出席すると伝えてくれ」

「同伴の女性は、どうされますか?」

「当てがある。そこは心配ない」


手帳に書き込みながら、パーティーの招待状をデスクに乗せる。


「では、私はお昼を取らせていただきます」

「あぁ。安生――いや、何でもない」