「宮ヶ瀬家の方々に、家族の話をするのはタブーなのです」
親族経営なのにおかしな話だ。
そう言いかけたが、飲み込んでおいた。
「特に、専務は家族の話を異常に嫌います。だから、気になっても聞かない方が良いでしょう。この先も、専務付きでいたいのなら」
「……はい」
明確な答えは得られなかったが、触れるべきではないという助言は得た。
いささか納得はできないが。
「では、調整の方はお願いしました」
「はい」
観月が去るとようやく、ゆっくりと紅茶を飲める。
コップに口をつけ、一口。
(家族の話題がタブーなんて…)
想像以上に、この会社は複雑なようだ。
でも、タブーだというならば触れない。
凛子は雇われの身で、その上、クビしにても然したる痛手はないのだ。



