【短編】愛トキドキ憎しみ

少しの沈黙の後、慎司は重い口を開いた。



「……昨日、男友達に相談があるって呼ばれたんだ」



用って男友達だったんだ。


もう、てっきり千理と約束してたのかと思っていたのに。



「だけど待ち合わせの場所には千理がいて……」



慎司は淡々と話を続けた。


今までも、何度か身体の関係を強要してきたらしい……。


だから二人になるのは避けていたんだって。



「だけど、過去を知っているだけに邪険には扱えなくて……で、昨日言われたんだ」


「……何を?」


「玲花も今までの女と一緒だって。他に好きなやついるって」



その時――。


頭の中にある疑問が浮かんだ。


千理……もしかして。



「そんな訳ないって鼻で笑ったよ。 ……けど、偶然出くわしたんだよな、あの場面に」



私が智輝に飛び付くとこ……。



「すぐに電話かけたんだけど」



私がまったく気付かなかったんだよね……。


あそこで気付いていれば“今”はないのかな。


「信じていたものに裏切られたと思って、すべてがどうでもよくなって……」



千理にされるがままキス、したってわけ。


で、それをクラスの子に見られてたんだ。


その後のことは怖くて聞けなかった……。


確かにやったっていう事実はあるらしい、それだけでもう、十分。